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2005/01/01 (Sat) そして、始まる世界

 地球の上にヒトが生まれて、言葉が生まれて、誰が最初に「夢」って言葉を作っただろう。
 毎日毎晩うなされ、目を覚ませば汗と涙で濡れているシーツを見るたびに思う。僕は、どうしてこんなに感情的になっているんだろう、と。
 夢の内容は覚えていない。ただ、苦しかったり恐ろしかったりするだけだ。そういう”気持ち”は残っていても、具体的に何が恐ろしかったのかは思い出せない。
 隣で背中を見せて眠っている人は、僕が毎晩こうして飛び起きるのを知っているだろうか。もしかしたら知っていて、とうの昔に僕の悪夢を解決するすべがないことを悟ったからこうして眠っていられるのだろうか。すいすい、と静かな寝息が聞こえる。寝息というのは潮の満ち干や小川のせせらぎや小鳥の歌声や山々のざわめきと同じレベルで安らぎを与えてくれるけれど、一度こうして起きてしまった僕はもうその日は眠れない。これが午前2時とかだと地獄だ。朝方になってようやく眠気がやってきて、1時間ほど眠ったらもう起きなければいけない時間だ。
 …夢って、何かな。
 純粋に思うのだ。どうして、僕が目指す道の先を示す言葉と、心と身体を壊すだけの邪悪を同じ名で呼ばなければいけないのか。「夢判断」とか「夢占い」ってのは、眠っている時に見るものが心理の奥底にあるもの、つまり”望むもの”だから同じ「夢」って言葉を使っているのだろうが、そんなのは僕には当てはまらない。
 夢に出てきたアレはアレの象徴だから深層心理は欲求不満だとか解放を求めてるとか、そんなことは偉い先生じゃなくても誰にでも言える。そう、子供だって言えるよ。ただパターンに当てはめてるだけだろ? そういうの、連立方程式を覚えたばっかりの中学生とかなら大好きだろうな。


「夢、か」
 コーヒーを飲みながら、一言。うっかり、聞かれてしまった。
「何? 夢?」
「なんでもない」
「あたしの夢はねー…」
 お嫁さんとかアイドルとか歌手とか女優とか映画監督とか料理の名人とかカリスマ美容師? とか、よくもまあそんなに沢山望むなあ、ってくらいのことを聞かされた。その言葉はもう僕の中ですぐに気化する。いつからだろう? 他人の話をちゃんと聞けなくなったのは。
「ねえ、聞いてんの!?」
「あ、ああ」
「じゃあさ。夢は? 何になりたいの?」
「何って…」
「かなわなくてもいいじゃん。言って言って? 夢!」
 かなわなくてもいい、か。それを分かって言っているんならこの人は大丈夫だろう、と思った。いつまでも夢や将来にこだわる子供じゃない。それを諦めなければいけないことを知っている。それはつまり、この国で生きるための大人の条件だ。
「僕はね」
 少し息を吸って、目を閉じる。「僕は」言いかけた頃には、もう目の前には誰もいない。コーヒーもぬるい。

 朝の太陽しか、たぶん、今僕を見ていない。つまり誰も見ていないのだ。
「僕は――」
「僕はね」
 誰も見ていないのになかなか言葉が出てきてくれない。
「僕は。僕に関わってくれた全ての人をホンワカした笑顔にさせてあげられる、そんな人になりたいんだ」

 嘲笑でもいい。
 太陽は、笑ってくれた。

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