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2005/03/30 (Wed) 人生すごろく

 すごろくってのは凄い名前だ。あらゆる解釈を可能としてるだろうけど、「すごい」と「ろくでもない」を同時に叶えうる、この世の真理みたいなものなのだ。人生はさいころで決まる。って言ったら結局運じゃねーかってことになりそうだが、そういうわけではない。すごろくはたくさんさいころを振ればゴールできるが、リアル人生は決まった数しか振れない。もしかしたら、ゴールまで100歩くらいあるかもしれないけど、持ってるさいころは1から6までしか出なくて、しかも3回振ったら消滅する、みたいなそんな感じなのだ。
 ならばこそ、リアルすごろくに、僕は究極を求めた。
 絶対に到達不可能な100歩先のゴールには何があるだろう? そう、リアルをデフォルメしたのがゲームならば、「ゴールに着いたよーわーいパチパチパチー」で終わってもらっちゃ困るのだ。そこに辿り着くまでに満身創痍になるに違いないのにパチパチパチじゃ救われない。ならば、到達不可能な「100歩先」のゴールには、辿り着くこと自体がナンセンスだ、と断じてしまうのがむしろ論理的なのだ。クレバー。アイムクレバー。HAHAHA!
 では、最低3、最大18、のすごろくで、最良の地点に辿り着くのがリアルすごろくの唯一の答え、いやゴールだと言うことができるだろう。
 たとえば、現在地から14歩先にあるもの。それを栄光と呼ぼうが夢と呼ぼうがアイと呼ぼうが勝手だが、これは冷静に考えるとチャンスは実質2回しかないのだ。14割る3は4あまり2。つまり平均4以上出さなければいけないということ。これはすでに最大値が6であることを考えると、奇跡みたいなものなのだ。
 つまり、目指す地点に辿り着くことは奇跡。
 じゃあどうすればいい? どうやって辿り着こう。6+4+4か、5+6+3か、6+6+2か…って考えるうちに、最初の一回目はどうでもよくなってくる。”1”が出ない限りは、最初のハードルをクリアできるのだ。
 僕は、ここで答えに辿り着いた気がした。
 そう、目指すゴールに向かうのに最低限必要な努力というのは、たった”1”を越えることなのだ。
 だから僕は、今日を生きれるのだろう。
 財布ん中に、”1”枚のお札も入ってないけど。ケラケラ。ってオチねぇじゃん。なんだこれ?


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2005/03/26 (Sat) 充電

 よく食べて、よく寝て、まぁそこそこ陽の下を歩いて。
 そんな休日を続けて、明日も明後日も休日で、何処までいっても休日で、バイトしてみたり、やっぱ無理だって言って部屋にこもってみたりして、そいでまた気持ちいい朝になって、よく食べて、外に出る。
 いいんだよ別に。俺なんか。心の中でいつも思う。思い始めたときはもう5分おきに思うのだ。
 いいんだよ。いらないんだよ。どうすりゃいい? 死ねばいいんだろ。死ぬよああ死ぬさ死んでやる!
 …って思ってみても、なぜか明日は来てしまう。

 ほんともう、どうすりゃいい?

 気付けばケイタイも電池1つだよ。
 で、思い切って朝早く起きて、街に出ることにした。用はない。金もない。コーヒー飲んで帰ってくるだけだ。でもそれでいい。俺にはそれくらいしかできないし、怖くてやる気にならない。コーヒーを頼むことが俺の、一日で出来る最大限のことなんだ。そう思うとマジ死にたくなるのだ。
 で、気付けば街どころか全っ然知らない駅。やっべ乗り過ごした。しかもよりにもよってこれ東海道線って乗り継ぎなしで名古屋まで行けちゃうのかよー、って状態。降りるにも金がないから、とりあえず駅をちょんと歩き回って再び電車に乗る。
 で、気付けば関西。え? って逆だよ! 逆! 何やってんだ俺! もう帰る! 帰るよ!

 でも、気付けば夜。電車も止まる。あれーと思って見渡すとそこは九州。っておいおい一日で来れるかアホ!
 って夢を見た、で済めばいいんだけど済まない。うわー乗り間違いでこんなとこまで来ちゃったよどうすんだよ。ほらケイタイもいいかげん電池切れるんだろー?
 って思ったら点いてた。

 タフだな、この電池。あと1個のくせして。

 まぁ、誰からもかかってこない電話だ。切れてもいいさ。しょうがない。適当に駅から逃げて、旅行と行こうか! 金もこねも何もないけど、まぁ、そうさ、春だ。それに俺は休日だ!
 そんなこんなで一週間。ケイタイはいまだ充電が切れない。俺も、なぜか生き残ってる。そんで、少し分かる。この国の端っこで、一人きりで、満月を見上げて思う。やっと気付いた。…「頑張れる」。
 だってさ、ほら、ケイタイは過充電するから逆に電池減りやすくなるんだけど、俺みたいにさ、底力はもともとあるんだよ。状況が変われば、いつまででも残るさ。
 そう思うと楽になるんだよ。なんてことを、駅の近くに縛られてた犬に話してみる。俺は残り一個の充電なんだけど、ほら、まだ消えてやんねぇぞって。下を出しながらね。
 そしてもう一度、いつもの口癖を言う。
「いいんだよ、俺なんて」
 いいんだよって、最初から許してるじゃないか。いいんだよ、ダラダラしてたって。
 いいんだよ、”俺”だって。


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2005/03/21 (Mon) 共生

 新生活に合わせて、ペットが飼える部屋に引っ越した。
 けど、引越し費用で貯金が底をついちゃったからペットは飼えない。手元に残っているのはあと3000円とちょっと。わー、貧乏。これはひどい。給料日までの食事代でほぼ全部なくなる。計画的に使わないと、あっという間になくなる額だ。

 で、15分後。
 パチンコで、ほんとに「あっ」と言っている間になくなってしまった。わー。私、これでリアル貧乏。明日から御飯も食べらんない。でも…財布に残った小銭が450円。さて、これで残り10日をどう過ごそうか?
 1、1日45円で極貧生活
 2、しょうがないからシュークリームとコーヒーでも食べちゃってなくす
 3、車上荒らしに出かける
 …。3はないな。2は確かに魅力的だけど、それもないな。じゃあ1? っていうか1日45円で何をどうすりゃいいのさ? 意味わかんないし。

 また15分後。
 私の手元には、数種類の花の種。
 10日もあればなんとかなるでしょう、と思い立った私は、水と空気と光だけで生きていける植物に憧れて、何を思ったか種を買い込んできたのだった。カイワレを今さら育てる気もないけど、もしかしたら10日で芽を出すくらいの成長はしてくれるかもしんない。思えば、こんな小さな袋に詰められて、いつになるか分からない成長を待たされているのだ…この種たちは。ずっと前から袋詰めだったかもしれないし、昨日詰められたばかりだったかもしれない。
「ペットか」
 一人でさみしいときに、となりで無邪気に擦り寄ってくる犬や猫に話しかけるのと同じように、私はたぶん、この芽や花たちに話しかけるだろう。それが10日以上続けば、私はまた、余裕のある生活に戻れる。もしかしたら、そのときにはすでに余裕があるのかもしれない。なんてことを思いながら、ずっと使ってなかったプランターをベランダにセットする。

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2005/03/18 (Fri) 会話

 会話はキャッチボールなのか。どうなのか。そうなのか。知らんのか。
 そう思うのは、俺が花と会話するのが楽しくてしょうがない男だからだ。こういうのはキャッチボールって言わないのか。どうなのか。俺はアホか? そうか。知らん。
「花がしゃべるわけないじゃーん。何言ってんだおめえバッカじゃねー?」
 そういうお前が馬鹿だよ。
 悪いけどな、人間の言葉が地上最上級の言語じゃねぇんだよ。

 コンピューターは01だけで会話するし、それを機械語って言うだろ? アセンブラに直す必要もないんだよ、俺にとってはな。だって会話すりゃいいんだろうが。鳥はピーピー鳴いて会話するし、ほらカラスを見てみれよ。ガーガーうるせぇだろ? あれ、そのまんま会話だよ。犬だって吠えたり鳴いたりしてるし、魚だって超音波か何かで意思を伝えたりしてるだろうが。な? 虫だってそうだろ? じゃあどうして花は会話しないって言い切れるんだこのボケ。

 お前な、お前がしたい”会話”って、お前の自慢話だけだろ? そうじゃねえんだよ。わかんねー奴だな。花の言葉はな、まず聞かなきゃダメなんだ。お前の言葉なんて聞いてくれないよ。毎日うるさい奴がいっぱい喋ってるんだ。花が話しかけてることはね、理解しなくてもいいんだ。聞いてみろって。
 世界が変わって見えるぜ。


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2005/03/18 (Fri) 人生というもの

 昔の人はよく考えたもので。あるいは何も考えていなかったのだろうか? どちらにしても、自分に正直に生きていた、ということだけは確かだ。昔っていっても10年20年前とかじゃなくて、江戸時代とかその辺。
 21世紀に生きる私は、幸福を探している。どうしたら幸せになれるのかを。幸せになれないのなら死ぬしかない、それくらいの認識なのだ。だから、人生を逆説的に表現したとしても幸せだと言いたいのだ。嘘でも言いたい。けれど、それを表現する言葉が見つからなかった。
 江戸時代の文献を調べて、少し分かった気がする。それは、まさに逆説だった。
 今で云うとこんな感じ。
「〇〇ができるという幸せ」。これを全ての言葉の最後に繋げればいい。例えば、
・ひとり部屋で嘆き悲しめるという幸せ。
・お金を全部なくしたという幸せ。
・鬱で悩んでどうしようもない状態であるという幸せ。
 この言葉は、思うだけではダメなのだ。思ったら言ってみること。これが大事。江戸時代の精神だ。実際に口に出してみるとあら不思議、なにやってんのあたし? ケラケラ。ってことになる。気を紛らわすことくらいはできるということだ。けどやっぱ、本家にはかなわない。
 江戸の精神は、ズバリ「チクショー」だ。言葉の最後にこれをつければ、この世の全てが幸せになるのだ。例えば、
・今日も寒いなぁチクショー
・もう生きてたってダメだ死んでやるチクショー
・財布落としたけど気付くのに2日かかったからもう絶対帰ってこないぜチクショー
・生きるって辛すぎるよチクショー

 ほら、笑えるでしょ? それが幸せの言葉なんだよ。って、こんなこと江戸時代の人は考えないで言ってたんだろうなぁ。はぁ…←溜め息。チクショー。(ケラケラ)

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2005/03/17 (Thu) ヒルドラマン

 宇宙かどっかから怪獣がやって来たとき、俺は変身する。ウルトラ…じゃなくて、まぁ、なんだ、そう、そんな感じで。
 ズギャギャギャーン! と恐ろしい音が俺のポケットに響く。メール着信だ。この音は危機を知らせる音。また怪獣が襲ってきたのか? くそったれ、こちとらコンビニで昼飯の菓子パンと弁当を選んでるとこだっつーの。ちょっと待ってろっつーの。それよりいきなりこんな着メロ鳴らしちゃった俺が恥ずかしすぎる。さっさと買って帰ってテレビ見よう。怪獣は、まぁ、その後で。

 でれんでれーん。というわけでテレビを見終わったのでいざ、変身、ならぬ返信である。
 さっきのメールを見るとまた退屈な馬鹿からの退屈な内容だったことが分かる。普通の人ならば「なんだそれー(ケラケラ)」で終わらすだろうが、俺は違う。
 なぜならもう変身しちゃってるから。
 昼のドラマを見終わった後の小一時間だけ変身する、世のメール相手のヒーロー、ヒルドラマンだ。
 今日もどろどろとして奥様受けするネタで返信して退屈な主婦の心をバッチリゲットしたらいざ、この世にはびこる”女”という怪獣、つうかモンスターを退治しに(つうかまぁ対峙しに? なんだけどねケラケラ)出陣である。
 そんなこんなで結婚詐欺師とかやり手とか言ってる俺ってば結局ダメ人間なんだけどね。
 怪獣に食い食われ、ヒーローは成長していくのだ。

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2005/03/11 (Fri) 空

 それが休日なら、雨だろうが雪だろうがかんかん照りだろうが関係ない。全ては美しいし、心象を表現していると言っても過言じゃないだろう。
「祈るんだ」彼は言った。「祈りにも似てる」そして笑う。
 そう言うのを見て、思う。笑顔ってのは”クール”には似合わないな。それと同時に、世界の有り様とは逆のことも思う。つまり、こういうことだ。
 『綺麗な顔をした男には性欲がない』
 自分の美しさに酔うから、動物や植物や綺麗な風景には興味を抱いても、女の子を引っ掛けたり追っかけたりはしないだろう、という想像だ。
「それも祈りだな」彼はこちらを見ずに言う。もちろん、こちらが思っていることが分かっているわけではない。会話がなくなった少しの時間を堪能し、その間に思っただろうことを曖昧に誤魔化しているだけだ。
「本当のことは違うんだ」彼はまたしても話の辻褄が合わないことを言う。けれど、勝手にその言葉を補完してしまう私がいる。つまり、私が思うようなことはないのだ。綺麗な顔の男でも女の子を引っ掛けたり追っかけたりするということだ。わかんないけど。
 彼が言う”祈り”について、少しは分かるようになってきた。けど、それはあえて言わない。私も目をつむり、少し窓の外に目を向ける。たぶん、そういうことなのだ。それが”祈り”なのだ、と私は思う。
 退屈な休日に、外の世界とは隔絶されたような部屋で、綺麗とは言い難いパンクロックを聴きながら空を見上げる。窓越しに。
 そういう、どこの宗教も絶対にやってないような”祈り”が、私の心に満ちてくる。
「世界ってのもそういうもんなんだ」
 意味不明な彼の言葉は、まるで世界を説明し尽くしているようにも思える。

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2005/03/09 (Wed) 負け犬アゲイン

 どうして俺はこんなにダメなんだろう。
 いつからこんなにダメになっちゃったんだろう。過去の俺は何を考えていたんだろう。いや、どうして考えなかったんだろう。俺はいつから負け犬になっちゃったんだろう。どうしてそれを認めてしまったんだろう。
 今になって思う。人生、後悔ばっかりだ。
 10年前…いや5年前、いや1年前でいい。そのときに戻ってやり直したい。負け犬でも、こんなじゃなかった。こんな惨めじゃ、なかったはずだ。”あの頃”の俺は、過去の俺は…少しは。
「そうじゃないよ」
 真っ暗な部屋にいきなり声が響く。しん、と。そして凛、と。
 俺の後ろにいつの間にか立っていた誰かが言った。俺は怖くて振り返れない。
「そうじゃないんだよ。まだ遅くないの」
 何言ってんだこいつお化けのくせに! 消えれ! 消えれよ!
「キミは今、未来から戻ってきたんだよ。過去をやり直すために、”今”に戻ってきたんだよ」
 何言って…
「もっと酷くなる前に、今思うその気持ちを忘れなきゃ、未来をよくすることはできる。未来ってそういうことだよ。変わるってそういうことだよ」
 戻ってきた未来の俺なら、もう間違わない道が分かるはずだろ? 俺は今日をどう生きていいかさえ分からないんだよ!
「それを考えて、また今日から変わっていけばいいんだよ。そんで、自分が変わったかどうかわかんなくなるくらい時間が立った頃、今日を振り返ってみればいいよ」

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2005/03/07 (Mon) 花

 どうしようもなくなったとき、人がふと惹かれてしまうのは”自然”らしい。
 山や海だけじゃなく、都会の真ん中でも。完璧にコントロールされた空調に支配されたオフィスでも。小さい鉢植えと一輪の花があれば、それで人は安らかになれる。
 だからって花が好きなわけじゃない。花屋には憧れるが、なりたいとは思わない。疲れたら、花を見ればいい。それだけで癒される…そんなことは誰もが知っている。
「虫の生態とか、海底数万メートルの深海魚とか、わけわかんない生き物は沢山いるよ? でもね、この世に誰も知らない花はないの」
 花を研究する人ってのは、なんて呼べばいいだろう? たぶんろくな稼ぎにならない…ような。農学者? そうか、子供のときに見たあの人は農学者か。って今気付いても遅いな。なんてことを思いながら、わざわざ乾いていない地面を歩く僕がいる。わき道にちょんと顔を出した花を探す。探すっつうか、なんとなく目がそっちを向いてしまう。綺麗な女の子より、なんか健気な花を思う。それって同情だろうか? ちょいと自問。でもすぐ答えさえどうでもよくなる。
「人はね、世界中の草花を知っちゃったから、今度は自分たちで新しい花を作ろうとしてるんだ」
 子供心にやけに大きかったあの博士? は、薔薇とチューリップとトマトとジャガイモが同時に実ったヘンテコな花? を見せてくれた。そのとき、恐怖を感じた。なんでこんなことすんだ、と博士? を本気で叩いたりしたかもしれなかった。
 それから十数年経って、たくさんの花を見てきたつもり…だったが、新しい花や色を作ろうとは思わない。たぶん世界を構成する遺伝的アルゴリズムの中で、強く…いや強くなくてもしなやかに生きることを望んだ形が、今ある動植物の形なのだ。
 自分の手で最高の芸術を残してやろう、いつも思う。けどそれは僕が描く絵画のことで。
 そういう価値観はもちろん人それぞれなんだけど、そんな言葉で割り切っちゃっていいかなあ。

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2005/03/04 (Fri) マイフレンド

 小学校1年生のときに決意して、大学1年でついに達成した”友達100人できるかな”プロジェクトだが、達成してからほんの3年で、いつの間にか…と言うのだろうか、いつの間にか”友達”は100人じゃなくなっていた。減っていた。
 自分で減らしてしまったのだろうか。いつの間にか…そう、いつの間にか。
 あいつはいい奴だから友達でいよう、あいつは嫌いだから別にいいや、と思ったわけではない…のだが(明示的には)、どこかでやはり友達にもランクをつけていた気がするのだ。

 100人で食べたいな。ナントカの上で、おにぎりを? だっけ。

 世界を知れば知るほど、どうしてだろう、世界が広がるほどに、たくさんいた僕の友達は、減っていくのだ。まるでそれは、お風呂の温度が下がっていくように自然なことにも思えた。お湯に塩をひとつまみ入れたときにだんだん濃度が一定になっていくようにも思えた。
 たぶん、僕と同じようなレベルにある人だけを、僕の無意識が選んでいるのだ。

 大人になったから分かる。100人でおにぎりを食べなくてもいい、と。ぶっちゃけ1人でもいいのだ。重要なのは、何を思いながら食事をするのかということだ。
 だから僕は、少し悲しいけれど、携帯のメモリを消していく。最後まで残るアドレスは、せめて”友達”と呼べるはず。そうじゃなければ、僕は僕を信じられない。きっとそういうことはない。


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2005/03/04 (Fri) 女神

 朝、目覚めると彼女が椅子に揺られながら、僕をじっと見つめている。
「おはよう。よく眠れた? ねえ、決心ついて?」
 そして僕の憂鬱な一日が始まる。
 さっさと着替えて部屋を出る。もちろん彼女はついてくる。僕の右肩の上あたりをふよふよと漂いながら。朝食はどうしようかなー、などと思うことすら許してくれず、彼女はいつもの饒舌を振り回す。
「ねえ、いいかげん死ねば? だからあんたには無理なんだって。死んじゃえば楽よー? もう苦しむこともないし、誰も傷つけてこないし、あんたも傷つかずに済むじゃん。地獄だろうが何だろうが、”ここ”よりましでしょ?」
 クスクスと笑いながら僕の上で舞い踊る女神。その姿も声も僕には分からないが、言っていることだけはダイレクトに伝わってくる。仕事中も、昼食のときも、仕事帰りも。トイレもお風呂も眠ろうとする間際まで。
「ねえ、だから言っちゃいなって。他人にさあ。”僕を助けて。僕はこんなに不幸なんだ。僕を助けてくれれば僕は何だってするから。お金だってあげるし、愛してあげるから”ってさあ」
 他人には分からないのだ。だから無駄。そんな足掻きを出したって、誰も振り向いてもくれない。
「わかってんならいいのよ。じゃあさっさと死になって。それしかないでしょ?」
 うるさい。
「あんたの気持ちを代弁してあげるね? ”もうダメ。もうダメ。もうダメ…”」
 うるさい。まだやれる。まだいける。
「どこまで行くって? 一緒よ一緒。辿り着く先はどっちにしても地獄。じーごーく。クスクス」
 誰も助けてはくれない。人に自分の苦しみを言えば、その弱みに付け込んでまた傷つけられてしまう。
「そう。そのとーり! よくわかったわねー。偉い偉い。”かもしれない”じゃなくって、そうなの。他人は一人の例外もなく、他人を傷つけるの。深い仲ならなおさらね!」
 うるさい…
「あっ、”じゃあ今の僕はどうすればいいんだ”って思ったでしょ? 答え教えてあげるね?」
 うるさいんだ…やめてくれ。
「死ねばいいのよ」
 その笑顔はとても素敵で。
「今さら何を迷ってるの? 残された人のこと? やり残した仕事のこと? そんなの構わなくていいって! あんたの代わりはいくらでもいるの! ほらほら、楽になっちゃおう? ”こっち”は楽しいわよー?」
 夜じゅうそんなことを耳元で呟くのだ。
「なあ、女神」たまには僕からも話しかけてみる。「どうやったら楽に死ねる?」
「あははー。やっとその気になったぁ? でもね、楽な死なんてないわ。苦しんでもがいて死ぬの。それしかないの。強い決心がひとつあればできるでしょ? ほら、トイレに顔突っ込んで10分ほど息りゃ止めてるだけで死ねるわよ? たった10分の我慢。できるでしょ?」
 怖いよ。苦しいのやだよ。
「あちゃー。でもね、あんたに残されたのはもう死ぬことしかないの。もう充分生きたでしょ? 才能もないし幸せになれる未来なんてひとつもないの。もちろん未来は無限の可能性に満ちてるけど、その中にあんたが幸せになる未来は一個もないのよ。ねー? ほらほら、死にたくなってきたでしょ? あんたみたいなダメ人間、死んだ方がみんなのためだって。ね? それ以上さあ、誰に迷惑かけたら気が済むの? 死ねよダメ男ー。クスクス」
 キミの声が聞こえてる時点で半分以上僕は終わってるんだろう?
「それがわかってんならもういいじゃない! ほら、”10分の我慢”よ! ほら! 頑張って!」
 そんな風に頑張ってって言われたくねえなー…

 気付けはまた朝だ。僕の心にいる、僕の一番柔らかい部分に住んでいる”女神”。彼女の甘い声と香りは、僕の鬱を加速させてやまない。けれど立ち向かう勇気も決意も根性もない。僕にできるのは、その声を受け入れて、認めながらも自身を騙しながら生きていくことだけだ。
 負けないぞ。…たぶん。
「まだやり残したことがあるんだ」それが何かはハッキリしなくても、そういう言い訳を用意しておけば、もう少し生きられる気がする。たぶん、みんなそう思ってる。そう思ってるよね?

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2005/03/03 (Thu) 成長

 少女は言った。”リスカしないでどうやって生きていけばいいの?”
 それはしょうがないことなのかもしれなかった。少女はまだ子供だったということだ。大人になれば、いろんな理由から自分の身体に傷をつけることもできなくなる。長期休暇をとるわけにもいかない。ひきこもりやSOHOならまだしも、普通の大人ならば手首に傷を作っていては生きていけないのだ。
 他人に、判断されるのだ。

 賢い大人の生き方は、こうだ。”身体を傷つける代わりに心を傷つけよう”
 自分の心を殺しながら壊しながら生きていけば、少なくとも自分は他人を傷つけない。この世界が他者を傷つけながらしか存在できないなら、傷つけられる側でいい。それはもうしょうがないことだ。それでいい、と思うことが賢い大人だ。
 だから、いつ死んでも構わない。何も望まないし、他人が助けてくれないことなどとうに知っている。ただし、そのことを少女の傷のように他人にみせびらかす気すらない。自分の苦しみは自分だけが知っていればいい。助けてくれない他者なら構わないでほしい。ほっといてくれればいいのだ。

 たぶん、こんな世界が破滅の危機にさらされたとしても、賢い大人は何も思わない。
 その場になって現れるヒーローがいたら、どうして今さら出てくるんだ、と石を投げつけるしかない。
 ヒーローがいたら、”世界”を救ってくれるはずだろう?

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2005/03/01 (Tue) ワンだふるマイライフ

「散歩に行くぞ」喜び勇んで飛び出した
くんくん ふかふか ニオイを嗅いで
こっちの方にはいいニオイ 知らないトコにはニオイ付け
おや 気付けばまた いつもの場所 よく知ったニオイ
同じようなニオイ 仲間 昨日も今日も たぶん明日も

「明日は違うトコ行きたいなあ」そう思っても
ふと気付けば また いつものこの場所
ぼくが 引っ張って来てるって? そんな馬鹿な 僕にはほら 首輪が

「同じトコにばっかりいちゃダメだよ」誰かが言った
そんなこと、分かっちゃいるんだけどねえ…


「散歩に行くぞ」今日は隙を見て逃げ出した
てけてけ はくはく ニオイを探して
やっぱりどこにも 行き場はないよ いつもの場所で見っかった
今度はみんなで出かけようか どこにしよう
ねえ 行こうよ 海 山 野原 できれば遠くへ だけど結局
いつもの場所 よく知った場所 みんな同じようなニオイ

「だってみんなといると安心するんだ」知らないトコは怖いもんね
だからって同じような毎日 実はそれって孤独なんだ

「いつまで首輪つけてんだい?」誰かが言った
そんなこと、分かっちゃいるんだけどねえ…


「散歩になんか行かないぞ」決意した 今度こそ 走り出す
知らない場所 知らない仲間 知らない言葉

「別に分かってもらえなくていいから」誰かが言った

なあ おい そんなこと言うなよ!
今から見本を見せてやる ついてこい
言葉も 身振りも お金も通じないトコでだって
歌うんだ 叫べよ ぼくらの歌 ぼくらの気持ち
通じるから ほら 通じるまで 届けてみろって
それってさ ね? 怖くなんかないんだ

そうやって いろんな場所へ行くんだ
楽しいだろう? 見てみなよ 今日は昨日とも明日とも 違う日だよ

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