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2007/01/20 (Sat) 夜回り探偵~SUICIDE

「どうして自殺しちゃいけないんですか!」


中高生はいつも私のもとに相談に来る。
私はこう答える。
いつも、いつも、いつも。
答えるうちに、だんだん内容が短くなっていって、ついに結論だけになってしまった。
電話で唐突に聞かれたとしても、即答できるようになってしまった。




「自殺した人は、生まれ変わっても、まったく同じ人生が始まるからよ」




生まれ変わることも、楽になることも、できないのだ。

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2007/01/16 (Tue) 鳥かご

2年飼ったインコちゃんを、放してあげようと思った。

足の悪い私と同じで、いつも空を見て、チクチク鳴いていた私の友達。
「あなたは自由よ」

窓を開け、鳥かごの柵を取り去る。インコちゃんはチクチク言いながら窓際まで来るが、そこで鳴いているだけだ。
30分待っても、そこにいるだけだ。

「どうして? ほら、飛んで」
無理やりに手に掴み、インコちゃんを外に投げ捨てた。
不恰好ながらも飛ぶことを覚えていたようで、力強く羽ばたいた。

「やっと自由になれたね。私はいいから。今まで遊んでもらってありがとうね」
…って言う前に、インコちゃんは真っ直ぐに鳥かごに戻ってしまった。

窓が空いていて柵もないのに、自由になろうとは、しなかった。
そのくせ、やけに私を見る。
チクチク鳴かずに、私を見る。


「おまえもそうなんだろ? 飛べるのに、飛ばないんだろう?」
インコちゃんがそう言った気がした。

違うの。私は歩けないの。足が悪くて、ここから外に出たことがないの。
外の世界は怖いから、治りたいとも思わない。ここにずっといて、楽しく暮らせればいいって思ってるだけなの。


私は。歩けないの。



「飛ぶのは、本当は怖いよ」
インコちゃんはそう言って、私の手をくちばしで突っついた。
「僕は飛ばないよ。きみがいるから」

インコちゃんが喋っている。夢か現実かは分からないけれど。
「違うの。私が、あなたに飛んでほしいの。自由になってほしいの」

「僕は飛ばないよ。きみとここにいてあげるから」


私は。歩けないの。
歩けないの。

あなたは自由だけど、私は。自由じゃ。ないの。


「ホントニ?」
インコちゃんはそう言って、今までに見たことのない力強い羽ばたきで、真っ直ぐに飛んでいった。
もう、戻っては来ない。私には分かっていた。

私は歩けないの。外の世界にも行きたくないの。自由じゃないの。あなたみたいに、普通じゃないの。

「…ホントニ?」

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2007/01/16 (Tue) revolution

「この仕事は君にしかできないんだよ」
上司にそう言われ、その日は何故か寿司を食べさせてもらった。

「あたしにはあなたしかいないの!」
いつもそばにいる人が泣きながら、僕を殴りながら、そう言う。僕は血を飲み込みながら、何も思わない。

「お客様にぴったりのクルマですよ!」
馴れ馴れしい営業が変な笑顔で言う。


帰るのはいつも終電。出社は朝8時半。別にそれは普通だと思っていた。
やらなければいけないことだと思っていた。
彼女が泣けばお金を与えなければいけないと思っていた。


1月半ばのこの夜、月は見えない。
そういえば、先月の今日は、綺麗な月が見えていたっけ。

ふと目をやると自転車置き場のそばで猫がうずくまっている。何匹もだ。
深夜になれば氷点下のこの時期でも、どうして野良猫が生きていけるんだろう。
…僕にはわからない。

僕は、何も考えずに、終電でいつもの駅に降り、何も考えずに帰宅しようとする。
月を見ようとして、猫に手を差し伸べようとして、他人の目を今更気にしたりして、イヤホンから響くいつもの曲を意識することもなく、いつものように、いつもの道を歩いて、いる。


そんな僕が、誰に必要とされているっていうんだろう?



「あなただけ」「きみだけ」「おまえだけ」…みんながみんな、僕をオンリーワンだと言う。
僕もそれに答えようとして、必死に笑顔を作り、苦痛をかみ殺し、頭痛を誤魔化し、努力を続ける。



…ああ、そういうことか。

耳に響く曲が、いつも歌っていたのに、どうして僕は気付かなかったんだろう。
自分で造っちまった、エラく頑丈なこの手錠に。


途端、僕は足元を確認する。
錠で繋がれた両手で、しっかりと足を撫でてみる。革靴を叩いてみる。


「よかった。まだ、大丈夫」

足枷はついていない。
僕は、まだ、全速力で走れるんだ。
翼がなくても、手を繋がれていても、僕は僕をまだ、持っている。

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