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2002/10/01 (Tue) 蓬の叢で掌を

 いつも通る橋の下に、降りていった。自転車で通る景色は、見ているようで見ていないものだ。この橋の下も小さい川だろうと馬鹿にしていたが、川べりは変な草が生えていて良い景色だった。しかも意外と広い。パッと見、その草で覆われていた。
 25メートルほど……そう、プールほどの距離の先に、この草を千切っては買い物籠に入れているおばさんがいた。変わった人もいるもんだと思って眺めていたら、僕の方に近づいてきた。
「何ね、あんたぁもヨモギば刈りに来よったとかね」
「ヨモギ?」
「そうよぉ。ヨモギたい」
予想外の方言に一瞬、呆気に取られていたけれど「これね」とおばさんは買い物籠の下のほうにあった包みを取り出した。開くとそこにはお饅頭が入っていた。
「ここのヨモギば練りこんだ饅頭たい」
ほとんど強引に、そのお饅頭を食べさせられた。しかし意外に、美味しかった。
「うまいです」そう言うとおばさんはカッカッカと笑って、またヨモギ刈りを始めた。
 僕も茎を一本、千切ってみた。ふむ、見た目はなんてことのない野草だ。このまま食べられるだろうかと思い切って噛んでみた。苦いようで味がない。草くさいだけの草だった。
 手の平に緑色が付いた。ジーパンで拭って、パンパンと払った。
 拭うこともないなと思いなおした。おばさんは一体どこの人なのか、まるで農作業を続けるように刈っている。さっき見たその手は、ほとんど緑色だった。
 僕も手が緑色になるまで千切って、マックの紙袋にヨモギを詰めた。太陽が高かった。手をかざしてみると、黒く流れる血潮が見えた。
 ミミズやオケラやアメンボなんか大嫌いで死んでしまえばいいけれど、ああ、僕は生きてるのかなぁ、と嬉しくなった。
 温かい、秋の午後だった。

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