--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2002/10/06 (Sun) 甲賀忍法

 駅前になぜか出店。しかも金魚すくい。季節外れのそれが妙に気になって、ちょいと寄ってみたのです。よく見るとそれは「金魚救い」。店のおっちゃんはニヘラと笑い一言。
「ほら この金魚ども 早く救ってあげなよ じゃねぇと 死んじまうぞ」
「あら それは どうしてかしら?」
「この水はな 直輸入の 死海の水よ だからこいつらは 息もできねぇ」
クククと笑い出す始末。
「じゃあやるわ おいくらかしら?」
「一回100円だ」
おっちゃんはそう言うと紙の貼られたすくい網をひょいと私に手渡して。私はそれで3匹の金魚をすくい上げて。そして紙は破れ。
「もう一回やるかい?」
「いえ いいわ 私にも生活があるのよ あんまり沢山の命を抱えていくことは できないわ」
 そうして家に帰って、水槽代わりに大き目のボウルに入れて、水を張って。

 二日後、3匹だった金魚に混じって1匹の小さな金魚が。
「あら 子供 生んだのね」
私はそれを優しく見守って。きっとこの子達も救われたことを喜び生を謳歌していることでしょう。
 その二日後、また一匹の小さな金魚が増えて。その二日後には2匹増え、そのまた二日後にはまた2匹増えていくのでした。
「あら 困ったわ これじゃあ増えすぎじゃないかしら」
このままのペースで増えていけば、すぐにボウルに収まらないほどになるでしょうし、世話も見切れなくなってしまう。
 夕方、また駅前に行ってみると、あの出店がまだ、ぽつねんとおっ建っていたのでした。
「あら おっちゃん このまえここで取った金魚ね ちょっと増えすぎて困るのよ」
「おう 嬢ちゃん それは当然 あいつらは淡水の中じゃ好き勝手しやがる だから俺はこうして直輸入の死海の水で 生と死のハザマでギリギリ生かしてやってるのさ」
「私もこの死海の水で育てれば いい感じに観賞用として 育つかしら?」
「ああ だが 気をつけねい 死海の水で育った生物は いつも瀕死だが 死ぬことはねぇ」
「あら それは怖いわね でも 面白いかも 一生鑑賞できるんでしょう」
「そうだな そうとも 言える」
「じゃあ この水を ちょうだい」
「ああ 1リットル 1000円だ どうだい」
「ちょっと 高いわね でも 仕方ないわ」

 帰って 私 ふと 気付いて また 出店に 戻って。
「おっちゃん あと100リットルほど ちょうだい 車に積んで 帰るわ」
「あいよ 嬢ちゃん 何か 考えたな」
「いいえ 大き目の水槽で 飼おうと 思っただけよ」
 100リットルの死海の水 お風呂に張って 今夜は 彼を部屋に呼んで。
「やあ 久しぶりだね」
「うん お風呂にする? 御飯にする? それとも 私?」
「あはは お風呂に入って 御飯を食べて そしてキミを食べよう」
「いいわよ じゃあ お風呂できてるから 入って」
「一緒に 入ろうよ」
「ええ じゃあトイレ行って来るわ 先に 入ってて」
 そうして 彼 先に お風呂に。

 それから すぐ 私の部屋 大きな大きな 水槽が届いて。
 その中には 観賞用の 彼氏。ほとんど動かないけれど 死ぬことはないし ときどき目玉をギョロリと動かして 私を見て 何か言いたげな表情を作るだけの オブジェ。

スポンサーサイト

読みきり | trackback(0) | comment(0) |


<<アンダーソン | TOP | 蓬の叢で掌を>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://sweetstorylatte.blog35.fc2.com/tb.php/159-970cb7b8

| TOP |

プロフィール

Author:ryow

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。