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2002/12/01 (Sun) ピアスマン

 昔々、アダムとイブの直系の子孫で、人類の祖の一人である、こんな男がおったそうな。
 彼の名前はピアスマン。彼の名は表の歴史には残ってはおらん。
 ピアスマンは鋼のような筋肉を纏い、いつもニカニカと笑い、そして誰にでも優しかったのだそうな。当然、女性にもモテモテだった。けれどピアスマンは、どんな美女とも、決して付き合うことはなかったのだそうな。
「おれの気持ちはみんなにあげたいんだ。だから誰かひとりを選ぶなんて出来ないんだ」
そんな感じの言葉を、ピアスマンはいつもいつも言っていたのだそうな。

 ピアスマンは頑丈だ。
 川で溺れる人を助け、動物を助け、山では落石から助け、海では溺れている者を助けた。彼はまさに、正義のヒーローだった。彼のおかげで、皆が無傷ですんだのだ。

 ピアスマンは慈悲深い。
 罪を犯してしまった自分の祖先を許し、同じ過ちを繰り返さないように他の者に分かりやすく説いてまわった。動物にも、植物にも。だから世界は平和だった。

 ピアスマンは強い。
 それでもやっぱり争いは起こるが、ピアスマンは涙を流しながら両方を成敗した。結果、勝敗はなく、また平和が続くのだった。

 それでもある日、ピアスマンにも寿命が訪れた。それは全能なる神が与えた死期だった。本来ならば無敵であるはずのピアスマンは不老不死で、次の神候補として将来を期待されていた。けれど彼は、ある条件とともに、自らの命を絶つことに決めた。
 彼は神に、こう言った。
「不老不死で無敵なおれの意思を、後世にまで伝えて欲しい」
そこで神は、彼がいつも耳につけていた飾りを手にとった。その頃、人の耳は、とくに耳たぶには大脳から直接繋がる重要な組織が入っており、そこを傷つけることは即、死に繋がるものだった。ピアスマンは無敵ゆえに、耳飾りという画期的な飾りをつけることができていたのだ。
 ピアスマンの命と引き換えに、全ての人類の耳から重要な組織は取り除かれ、脳の一部に組み込まれた。そして、耳たぶに痛覚はなくなったのだった。さらに、いつも冷静沈着だったピアスマンの意志を継ぐために、耳たぶは常に冷たくなったのだ。

 いつからか、人は耳に穴をあけるようになった。そこにつける飾りを「ピアス」と呼ぶようになったのは、実は偉大な男を忘れないためなのだ。しかし、発展を続ける人類は、「ピアス」を耳だけではなく、全身に施すようになった。けれど、忘れてはいけない。「ピアス」をつけても痛くないのは、耳だけなのだ。

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