--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2004/02/06 (Fri) ライラック

 恋人であるキミに距離を感じるのは、いつもベッドの中だ。
 大好きなキミを抱けるというのに、僕はいつも震えている。過去にキミが経験した数え切れないほどの男達に嫉妬しているんじゃない。その経験がキミの人生観すら染めてしまっていたということにだ。知っているかい? キミを喜ばせるため、僕はキミとベッドに潜るときはいつも神経をすり減らしながら必死になって全身で表現するんだ。
 恋人に求める要素の第一位を「セックスの相性」と臆面もなく言い切るキミがどうして僕みたいな冴えない男を選んだのかは未だに分からない。僕の求めるそれは「心の繋がり」で、キミにしてみればこれは第五位までに入らないんだから。当然、僕はセックスも下手くそだ。愛し合えれば、心が繋がれば、身体はたとえ満足しなくても(そこそこあれば十分だろう?)それでいいと思っている。今でも思っているんだよ。
 けれど現実は、いつもキミを選ぶ。キミが選ぶ洋服の色に流行が合わせるし、キミが好きなランチが雑誌で紹介されるし、大多数の恋人たちがセックスの相性を心の繋がりや安心感なんかよりも遥かに重要視しているように。だから僕は、そういう現実についていけないから、昨日、全てを捨てたんだ。こんな病んだ僕の心を救ってくれる人、つまり僕の心に繋がってくれる人に出会うために。
 自分が男である証を、昨日、僕の体から切り離したんだ。

 膨大な時間が流れた。あの選択肢が正解だったかどうかは今だに分からない。僕がセックスできない体だと知ると、親しかった女性はみんな僕から離れていった。だからといって僕が男色家になったというわけではない。僕はいつも探している。求めている。たとえばキスや抱擁では、満足できないだろうか。どうして人の心がこうして際限ない「愛」を求めるのか、それが僕には分からないんだ。
 そんな僕に、先日、愛を誓える人、恋人と呼べる人がついにできた。回り道ばっかりして流行遅れで世間知らずで我が侭な僕を「自分を持った人」だなんて呼んでくれる、できすぎた人だ。実は僕の身体は男に戻ることができる。切除したのは性器じゃなくて、その中身だ。
 だけどときどき、僕もふいに寂しくなる。抱擁じゃ全然足りない寂しさや孤独を埋めるには、やっぱり物理的な安心感が必要なのだ。物理的な繋がりが。そこに心が同調すればそれを愛と呼べるだろうけれど、今では何がアイなのか僕には判断がつかないよ。
 たとえばリラの香りを嗅ぐたびに僕はかつての恋人を思いだす。何も持っていなかった冴えない僕に、セックスのテクも何も無かった僕に、それでも温かい潮流をくれた人。香水はいつもリラの香りで、そういえば好きな色が白や紫だった。今になって心の中のキミに問う。もしかしてキミは、何も持っていない僕が唯一カケラだけは持っていた「こころ」ってやつの匂いに誘われてやってきたのか? だとすれば僕は、唯一の理解者を……
 ハート型の葉っぱ。木のクローバーなんて呼んでいただろう? 普段は四枚の葉に、ときどき五枚の葉がある花がある。そいつを見つけたら幸せになれるなんて、下らないことを。
 次にリラが咲く頃、僕はきっと僕なりの答えでもって幸せになってるはずだよ。だからどうかキミも、選択肢を間違わないでいてくれ。間違いだらけの僕の代わりに、正解だけの道を。

スポンサーサイト

読みきり | trackback(0) | comment(0) |


<<宝石箱 | TOP | テレホン>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://sweetstorylatte.blog35.fc2.com/tb.php/181-fc0ec24c

| TOP |

プロフィール

Author:ryow

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。