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2004/03/01 (Mon) アニマルズ・イン・ザ・ウォー

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 数億年前、一匹の白ヤギが、同胞の黒ヤギに手紙を送った。黒ヤギは空腹のあまり、その手紙を開く前に食してしまった。ハッとして黒ヤギは白ヤギに手紙を送った。先に来た手紙を紛失してしまった、その内容は何だったのか、と。
 しかし、それが白ヤギからの最後のメッセージだったと、黒ヤギが気付いた時には……遅すぎた。遅すぎたのだ。すでに白ヤギはこの世にいなかった。
 白ヤギから返事が来ないのを疑問に思った黒ヤギは、白ヤギのホームへ行くことにした。黒ヤギが目にしたのは、ライオンやハイエナに引き裂かれた、無残な姿だった。
 黒ヤギは、吠えた。3日間吠え続けた。声が枯れ、足がふらついてきた時、ふと周囲を見渡すと、彼はハイエナに囲まれていた。じきに日が暮れる。ランランと光る目だけが認識できる。いつ襲い掛かってくるかも分からない。ハイエナたちはジリジリと近づいてきていた。
 彼は最後に一吠えして、全力で走った。
 夜が明けるまで走り続け、彼は倒れた。雨が降ってきた。体温を奪われ、彼は死を決意した。全ては友である白ヤギを裏切ったせいだ……彼は死を受け入れた。
 しかし、目が覚めるとそこは、ヤギのホームだった。
 一回り小さい、美しいメスの黒ヤギが、彼に水と草と花を与えた。彼はなんとか回復した。しかし彼は孤独な黒ヤギ。旅立ちの朝、花を角にしばり、そしてまた、戦場へと帰っていった。彼の生きる場所は、友が倒れていった平原の中にしかないことは、誰もが知っていた。
────


 そういう伝説が、この世界にはある。それは古い童話であり、誰もが子供の頃に聞かされて育つ。かつてこの惑星(ほし)で隆盛を誇った、猿の後継であるヒトが滅んでから、何度かの世代交代が起こった。鳥が、熊が、ライオンが、微生物が、巨大竜が、いろいろな種類のアニマルズが知能を持ち、惑星(ほし)を支配し、そして、殺し合い、死んでいった。
 しかし、我々ヤギは違う。かつての教訓を生かすことが出来るのだ。数億年前から伝わる、届かなかったメッセージの伝説を聞いて育った我々は、決して同胞を殺すこともないし、裏切ることもない。真に平和な世界を作ることができるのだ。
 いまなら紙媒体のメッセージを食することもない。全ての意思は電子メールで送受信されるからだ。だから絶滅した白いヤギたちよ、もしもまたこの惑星(ほし)に現れることがあるのなら、遠慮せずに送ってほしい。キミからのメッセージを、待っている。

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