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2004/03/16 (Tue) ダメのプーさん

 僕はプー次郎。人は僕をプーさんと呼ぶ。僕は中卒でハタチまでヒキコモリを続けて、それから親に勘当されて22までアルバイトをしたけれど、漫画喫茶のバイトだったのでほとんど暇だったから社会勉強にはあんまりならなかった。今は一人暮らしで、定職にも就かず、バイトをしながらダラダラ暮らしている。税金は払っていないし、家賃も滞納している。
 僕の好物は蜂蜜だ。
 何はなくとも蜂蜜があれば僕は幸せだ。だからバイト代のほとんどは食費……主に蜂蜜に消える。近所のスーパーから蜂蜜が消えるのは僕のせいだと思ってもらって間違いない。
 ある晴れた初秋の日に、僕はスズメバチの巣を見つけた。なんと、僕のアパートの一番上の階の一番端の部屋の窓際にあったのだ。直径10センチほどの小さいものだけれど、その中でスズメバチが針を研いでいるのだと思うと背筋がぞくぞくしてたまらなかった。
 それが、始まりだった。
 それからはほとんど毎日、蜂を見かけた。スズメバチだけじゃない。ミツバチも、アシナガバチも。遠目にアパートを見ると、アパート全体に蜂がたかっていた。外に出るのが怖くなった僕は、ありったけの蜂蜜を買い込んで、部屋に篭った。
 冬になっても蜂は飛び続けた。アパートの住人はどんどん出て行って、僕だけになってしまった。これはもう、僕と蜂との根競べに他ならなかった。
 クリスマスが過ぎ、年が明け、受験シーズンが終わって、そして、春が来た。
 蜂は増え続けた。僕はいつのまにか眠っていた。目が覚めてテレビをつけたとき、もう4月になっていた。ふとんにくるまっていた僕はどうやら、冬眠をしていたらしい。喉が渇いたので水を飲もうとしたけれど、水道水というのはどうにも口に合わない。転がっていた蜂蜜のビンを舐めると、それはもうこの世のものとは思えないほどの美味さだった。
 窓を開けた。蜂は真っ暗だった。時計を見ると朝だったが、暗かった。手を伸ばすと、その闇が一気に晴れた。暗いのは蜂のせいだった。蜂が壁になって、アパート全体を包み込んでいたのだ。
 僕はまだ寝ぼけていたけれど、3階のこの部屋から飛んでみようと思い立った。ぶんぶんと唸る暗い壁に向かって飛び込んだ。
 どこまでも飛んでいける気がした。ふと思った。女王だ。女王を探さなければ。

 そうして、蜂の姿をした僕と、世界を埋め尽くすほどに増えた蜂との、静かな戦いが始まった。僕が先に女王を見つけて殺してしまえば人類の勝ち、蜂どもが女王を見つければ世界が蜂に支配されてしまう。ダメのプーさんは今日こうして、世界を救うべく旅に出たのだった。

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