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2004/05/02 (Sun) ドットフィアーズ

 インターネットの広がりが本格的に懸念されてきたのは2010年も終わりに近づこうとしていた頃である。21世紀が始まって10年目に突入しようと世間が祭りに騒いでいたとき、若者達は次々と原因不明の奇病で倒れていった。彼らに共通する特徴はひとつ、一日に4時間以上ネットサーフをしていたことだった。
 倒れた者たちは病室で意識を取り戻すと、医者に訴え始めた。彼らは皆症状が異なっていた。しかしそれを発症した彼らは共通していたため、病名はドットフィアーズ――.fears――と名付けられた。ある者は部屋が怖いと云い、またある者は色が怖いと言った。他にも、犬、人、自分、鏡、洋服、パソコン、文字、テレビ、音楽、髪、ドア、空、水、写真、カレンダー、お金、ジーンズ、圧縮袋など様々なものを怖がるという症例が見られた。彼らに共通するのは何かを圧倒的に怖がっているという点だけで、感染方法もその原因も解決策も何も見当たらなかった。
 さて、誰がドットフィアーズという名をその症状に与えたか? それはパソコンがまだマイコンと呼ばれていた時代にも起こっていたが、あまりに小規模だったために忘れられた言葉でもあった。いわゆるコンピュータウィルスである。そのウィルスに侵されたコンピュータは、OSを根本的にやられてしまう。拡張子の読み取り方が分からなくなり、どの拡張子に対してどのソフト、どの処理を施せばファイルを展開できるかが分からなくなるのである。それがどうしてか、今度は人間に起こり始めた。
 患者たちはつまり、世界の拡張子を読み違えているのだ。本来恐怖すべき事項である「死」や「幽霊」あるいは「トラウマ」「病気」「大統領」「警察」「饅頭」などと、そうではないものに対する処理を脳が吐き違えていた。例えば目の前に本があるとする。これはパソコンで云うなら「.book」とでも表示できるだろう。テキスト、外装、著書、種類などを考慮せずこれは本だ、というオブジェクト指向で考えるならば、である。それを違う拡張子のものとして捉えるという症状だ。
 こうなると幻覚の世界である。本来「人」に見えたものが「犬」に見えたり「幼女」に見えたりするのだ。現在、有効とされる治療法はたったひとつだ。幻覚物質を与え、逆に読み取り方を分からなくさせる。そうすると感覚がリセットされるため、「対象」と「その名前」と「その存在」を認識できるようになるのだ。一時凌ぎでしかないのだけれど。

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