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2004/05/20 (Thu) ループ

 仕事辞めます。
 そう言って退職願を部長の机に差し出し、一言の返事も貰わずに自分の机を綺麗にしてオフィスを出た。周りはいきなりの俺の行動にオイオイ、まじか、などと言い合っていたけれど、そんな言葉に耳を貸す余裕もなかった。
 ふらふらと出て行く俺に、具合が悪いのか、なにも辞めることないじゃないか、頑張れよ、と声をかけてくれるやつもいた。カードキーを入れるのに手こずっていると、美人で有名な…何て名前だか忘れた子が手伝ってくれた。ありがとうと言いたかったが、くいしばった歯の力を抜くと一気に「持っていかれ」そうだったので少し笑顔を作って誤魔化し、さっさとエレベータに乗り込んだ。

 どうにか部屋まで着いた。それから一分もしないうちに俺はベッドに倒れ込み、そのまま夢に落ちていった。
 ……誰か助けてくれ。力を抜けた口からこぼれた。誰も来るはずがない。

 きっかけは、過労による不眠症だった。先月末まで休日も定時もあったものじゃなかった。薄給の中で死にそうになりながら仕事を続け、帰ってきても目がきんきんして眠れない。睡眠薬に頼るようになり、ほんの4時間の睡眠にも関わらず毎日飲み続けた。そのうち、一錠では足りなくなってきた。二錠、三錠…薬は増えた。仕事だけでなく、自分が眠れない体質だという思いもストレスになって俺はどんどん眠れなくなっていった。薬をやめたのは一昨日だった。その前の日は4時間寝るために18錠飲んだ。明らかに過剰摂取である。普通の人の18倍の量の睡眠薬がなければ俺は眠れない。完全なオーバードーズだった。

 薬をやめて二日で、たまっていた薬の効果が一気に押し寄せてきた。マイナスがプラスに変わるのだ。今朝から俺は身体が重くてほとんど動かない。過眠症になってしまったのだろう。この先の展開は知っている。不眠と過眠を繰り返し、それがやがて鬱と躁になってさらに加速する。三日ほど眠り続け、四日ほど起き続けるという一週間だ。

 だけど俺はその中にひとつの救いを見つけた。
 夢の中の物語を思いだしたのである。
 夢の中で俺は誰もが憧れるヒーローで、悪い奴を次々に退治して、最愛の恋人(美人)ともラブラブなのだ。たぶん、こっちの世界で抜けた力が向こうで活躍してくれるんだろう。それならそれで構わない。こっち側の力を全部向こうに持っていけばいいだけだ。そうすれば俺は永久不滅、絶対無敵のヒーローになれる。いつまでもヒーローでいられる。
 いや、これが夢なのだ。いつも無敵で健全なヒーローが見る、くたびれた会社員の日常が。だから夢よ、早く醒めてくれ。俺を真実の世界で目覚めさせてくれ。眠りの中にだけ救いがあるとすれば、俺は早く眠って向こうへ行きたい。そして目覚めるのだ。本当の俺になるために。

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