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2001/08/27 (Mon) 埼玉ラブストーリー(1)

 ウーウーウー。サイレンが鳴る。
「アンドロイドが逃げました。地下7階研究員は速やかに処理を行ってください。繰り返します。地下7階研究員は…」
 地下研究所内に、また放送が響いた。より人間に近いアンドロイドの研究は、外見を完璧にしただけでは使えないらしく(それならマネキンでも動物でも同じだというリサーチ結果が出た)、ついに“マインドシステム”の完成により、ある程度の感情を持ったロボットを生み出すことに成功した。とはいえ、簡単な言語理解機能と会話中の表情変化システム程度だ。ハウスメイドロボットや老人ホームなどの話し相手ロボ程度ならそれでもいいらしいが、実際に必要とされているのは、仕事を完璧にこなすビジネスパートナーロボだった。確かに、アンドロイドは言われたことはほぼ完璧にこなす。多く人手が必要な仕事…工場内作業や農作業用にと開発が進められていた。
 しかし、つまるところ、人の目的は欲望へと辿り着く。
 この研究所の地下深くへいくほど、アンドロイドの人間的完成度は(見た目にも内面にも)精密度が増していく。ここ、地下10階以下ではマインドシステムを発展させた“アイデンティティシステム”の開発と組み込みにより、最早アンドロイドと人間を見分けるためには耳についた制御器の有無を確かめること以外にない。
 僕はつい先週、地下14階の研究員に配属された。研究所としては最下層で、そこでは完璧な外見を持ち、ほぼ完成されたアイデンティティシステムを搭載したアンドロイドの最終調整を行っていた。このフロアは地上への直通エレベータでしか行き来できない。他のフロアとも隔離され、一般研究員にはその存在さえ知らされてはいない(うわさで聞いていたが)トップシークレットフロアだった。
 僕はここで働くことに、良心が痛む。今僕の目の前でカプセルに入り眠らされている(出荷用未稼働の)アンドロイドたち…。彼ら、あるいは(というかほとんどが女性型だったが)彼女たちは目を覚ましてから、再び眠りにつくまでは…。そう考えると、僕はいたたまれない気持ちになる。
 人がロボットに求めるものは、つまるところ、このフロアへ辿り着く。このフロアを、僕ら研究員は、こう呼んでいた。通称“セクサロイドフロア”。

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