--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2005/04/23 (Sat) 憧れ

 子供の頃から、気になっていたことがあった。
 山の上にある小学校から見える、さらに高い山。それが「山」の字を表す形ではないのが、幼心に疑問だった。どっからどう見ても台形なのだ。山頂部がパキッと水平に切り取られている。あの山は何だ? 子供たちは噂し合った。世界征服を企む秘密結社の基地だとか、ゴルフ場だとか、リゾート地だとか、ゲームセンターと図書館とブッフェがある楽園だとか、謎の巨大生物がいる野生の森だとか。でも、誰もそれを調べようとはしない。皆で噂することが楽しいのだ。先生たちは何も言わない。さあ、何だろうねえ、とか何とか。
 結局のところ誰も知らないのだ。
 そして僕も、大きくなるにつれてそんなことはどうでもよくなっていき、やがて忘れていった。
 けど小学校のときの仲間が結婚したというので地元に少しだけ戻った時、小学校で行われたちょっとした同窓会の場で、あの台形山のことをまた話し始めた。あれはやっぱり基地なんだよ、という結論に至り、同窓会の最後に残った仲間たち3人だけであの山に行ってみることにした。
 やめとけよ、と結婚した仲間が力なく言ったが、僕らは行くことに決めた。
 久しぶりに来た地元だ。よく知った道を仲間たちで車を運転して走ることが楽しくてしょうがなかった。

 山のふもとの町には人が少なかった。小高いところにあるこの町から見ると、僕らの小学校などどこにあるのかさえ分からなかった。遠くに見えたこの場所は現実から離れた場所にあった。
 山に通じる道は1つだけ。しかし「私有地」と書いてあり、道路が繋がっているものの謎の巨大扉が行く手を阻んでいた。この厳重な警戒はやはり基地だ、と僕らは楽しくなってしまい、車を降りて歩いていくことにした。獣道を割って進んでいくと、だんだん山頂が見えてきた。
 すぐ近くから見ても山頂はやっぱり水平に切り取られていた。もうすぐだ。もうすぐ、僕らは「夢」に辿り着く。
 辿り着いた先に僕らが見たのは、空いた口が塞がらない光景だった。
 火口のようにくぼんだ山頂は、ゴミでいっぱいだった。粉々にされて固められたプラスチックごみ。それを埋め立てるための山だったのだ。周囲から内部が見れなくなっていたのは、ただこのことを業者あるいは行政が隠そうとしていたから。それだけだった。
 …ゴミの山があんなにも輝いて見えていたのか。
 ふと気付いて煙草をしまった。今、この山に火のついた一本の煙草を投げ捨てるだけで、この山が見える至る場所で見える山火事が起こるに違いなかった。

スポンサーサイト

読みきり | trackback(0) | comment(0) |


<<大人になってしまった僕らの歌 | TOP | 情報起業家>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://sweetstorylatte.blog35.fc2.com/tb.php/272-115c0ba9

| TOP |

プロフィール

Author:ryow

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。