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2005/06/12 (Sun) ふるさと

 数年ぶりに帰ってきた、学生時代に暮らしていた街。またこの街で生活を始められるとは思っていなかった。変わらない本屋、店員も同じコンビニ、駅前のマック、火曜に特売をするスーパー、緩く長い坂道。
 駅前は10階建てくらいのマンションが出来ていたけれど、他は変わりなかった。あの頃のままだ。
 青春のど真ん中の何年かを過ごしたこの街は、僕の心のふるさとと云っても過言ではなかった。就職して、各地を転々とさせられて、”新人”じゃなくなった僕が落ち着いたのは、希望通りのこの懐かしい街だった。この街をこれから車で移動して、あの頃は知らなかったショップやメーカーや小さい企業を回るのだ。それってすごくドキドキすることじゃないか? なあおい、俺。
「またよろしくな」
 駅は小高い場所にあり、坂道とともに広がる街を見下ろす。
 懐かしい夕焼けと、懐かしい通り雨。全てがあの頃のままだ。
 もう一度この街で始めたら、青春が蘇るだろうか? ふと思う。淡い恋や、馬鹿な友情や、小さな幸せや、早朝のジョギングや、名物のお爺さんまで。あの頃と同じように僕を迎え入れてくれるだろうか?
「ふるさとか」
 呟いて、帰路に着く。これから僕が住むのはあの頃のアパートではない。駅を挟んで反対側にある、ワンルームマンションだ。坂を下りながら懐かしい日々を思い出す。
 …けれど、何か違う。
 あれ? この街は、僕のふるさとのはず。デジャブではない。どうしてこんな違和感が?
 ――その答えは、新しい部屋に着いてすぐに、唐突に僕にのしかかった。
「そうだ、ここには」つい口が滑る。「俺しかいない」
 僕が思うふるさとは、場所じゃなく、遠い恋とともにすごしたあの人だった。
 思い出して、涙をこぼした。
 懐かしい居酒屋で飲もうと思っていたけれど、知らない店にしよう。僕はもう、あの時とは違う。それを、認めざるを得ない…大人になってしまったことを。

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