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2001/09/02 (Sun) 金で口を塞げばいい。

「宝くじ当たっても半分以上貯金するって言ってる奴なんかに当たって欲しくないよね」
「そーそー。アタシなら3日で使い切るよ」
「ちょっとずつ使えば一生もつじゃん」
「スゲー経済的~!」
「遊んで暮らせるよ」
「キャハハハハー」
 仕事の帰りの電車の中で、女の子数人が話していた。僕は少し考えた。金で買えないのは何だろう。時間か、心か、そんな形無いもの。買えないものは、変えられないもの。例えば、過去。戻れなくていいから、過去を変える事は出来ないだろうか。君を失う少し前の時間を、変える事は出来ないだろうか。そんなことばかりを考えて、もう4年が経った。僕は当時大学生で、あの日は雨で、僕らはバイクで。
 事故の直前だけは明確に覚えているのに、この4年のことはほとんど覚えていない。いや、残っていないのだ。残っているのは左足の縫い跡だけ。
 夢でさえ、僕は君を助けることが出来なくて。スローモーションの中で何度も繰り返される悲劇。僕はもう、人生なんてどうでもよくなっていた。
 そんなある日、宝くじが当たった。3億円…!人生を変えることが出来る金。僕は迷わず、君との再会を望んだ。僕が持っていた君の欠片。大切に大切に保存しておいた君の遺伝子で、もう一度君を作り出す。人工授精。しかしこの場合は人間のクローンを作るということになるのだろうか。どうでもいいじゃないか、そんなこと。文句を言う奴は、金で口を塞げばいい。もうすぐ君に会えるね。今度は僕の娘として。

 5年後。僕は夢を見た。そのとき、僕には愛すべき妻と、4歳になる君が…娘がいたのに。僕は夢を見た。今、妻のお腹にいる子供が、君の生まれ変わりだと、光は言った。こうして僕は自らの罪を、自覚して。
 いや。娘の体に、君の魂を移植すれば。完璧な君が、現れるだろう。
 そして僕は過ちを繰り返す。左足の縫い跡が、少し疼いた。

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