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2001/09/10 (Mon) 女性が煙草の煙を僕にふきかける。

 僕が席につくなり、目の前のバーテンがカクテルを作り始めた。
「どうぞ…」
出されたのはいつも僕が頼むカクテルだった。白と青をイメージした、この店オリジナルのカクテル。でもネーミングセンスはないらしい。
「まだ頼んでないんだけどな…」
僕がダルそうにそう言うと、バーテンはサービスです、と言った。それから二つ左の席にいつも座っている女性をチラリと見た。女性も僕を見て、ニコリと微笑む。僕はいつも、この店の中では時間が流れていないように感じていた。名前も知らない二人だけど、それでもいいと思っていた。
 女性がタバコの煙を僕に吹きかける。これがちょっと話そう、の合図だった。ちょっと迷惑な合図だ。灰皿を見ると、すでに4本も吸った後だった。いつもは1本か2本なのに。
「…今日は多いですね」
「タバコや酒…しか、ないからね…」
 女性とはいつも何気ないことしか話してなかった。30代前半だろうか。色っぽい割にいつも不幸そうな、儚げな雰囲気が好きだった。でも、ここでちょっと話すだけの関係で充分とも思っていた。はっきり言うと、僕では手に負えないレベルの女性なのだった。
「男はいいわよ…」
女性がふと呟く。バーテンを探したが、カウンター内にはいなかった。
「どうしたんですか?なんか変ですよ」
「男は30でも40でもチャンスはあるじゃない?でも、女は年くうほどチャンスは減るのよ…君はまだ20代でしょ。何でも出来るわよねぇ」
 不倫に疲れた、という感じでもなかった。僕はとりあえず聞き役に徹することにした。
「ねえ、強いの作ってくれる?あと、そっちにも同じのを」
いつの間にか戻っていたバーテンに、女性が注文する。僕は酒は強くないのだが。
「おごるから。ちょっと付き合ってくれない?」
 よく見ると、今日はタバコだけではないようで、既に酒も相当入っているようだった。そして初めて、女性は席をひとつ移動した。僕の、隣へ。僕はなぜかひどく落ち着いていて、女性が語る男の話とか人生の話とか仕事の話とかを半分上の空で聞いていた。
 ふと考えた。僕にも経験があるように、“そんな傷”を癒すには、繰り返すしか、ないのかもしれない。いや…、だから僕は繰り返しているのか。

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