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2001/11/20 (Tue) 幸福屋セールスマン

 玄関のチャイムが鳴った。どうせ新聞屋の勧誘かどっかの宗教だろう。俺は部屋の受話器を取りダルい声で言う。
「はーい」
それでも取ってやるだけマシだろう。しかし日曜の午後にマラソンを見てポテチを食って寝ようとしている俺は一体何なんだ。くそが。
『幸せの押し売りに来ましたー』
「ああ!?」
『ちょっとお話だけでも聞いてくださいよー』
「(ウゼェな…)はいはい。切ります。結構ですから」
『待ってくださいよ!ノルマあるんですよー』
「はいはい。何ですか?高い物なら買いませんよ」
『あなた、今、幸せですか!?』
「なんだ…宗教関係かよ…ダリぃんだよ…」
『お金は結構ですから!とりあえず受け取ってくださいよ!』
「…何を?」
『幸せです!』
「帰れ!」
『帰りません!』
「なんでだよ!」
『あなたでノルマが最後だからです!』
「何を受けとりゃいいんだよ!」
『幸せです!』
「アホ!」
 俺は受話器を置き、冷蔵庫からペットボトルを取り出し3口だけ飲み、またベッドに倒れこんだ。眠れそうだ。どんな夢を見るだろう…そう思ったとき、俺の頭に浮かんだのは、なぜか悲しい出来事ばかりだった。そのとき、ケイタイが鳴った。知らない番号だ。
「もしもし?」
『幸せ、いりませんか?』
「…話だけ聞くよ」

 電話の途中で俺は眠ってしまったらしい。気がつけばもう午後7時だ。起き上がると軽く腹が鳴った。コンビニでも行こうかな?そういえば、奴は何の話をしてたんだろう?
 玄関を開けると、茶色いロングコートを着たシルクハットの男が立っていた。
「…こんばんわ」
俺はなぜか妙に可笑しくなった。
「まだ押し売りが足りないんですか?」
そういえば、今日は今はじめて笑ったかもしれない。
「幸せ、いりませんか?」
「…一番安いのをもらうよ」
男は歯を見せないようにニッコリ笑って、「どうぞ」と言ってケイタイを差し出した。いつのまに奪ったのか、それは俺のケイタイだった。俺がそれを手にした瞬間、ケイタイは震えだした。なぜかマナーモードになっているようだ。着信は公衆電話。
 俺は男に背を向けて電話に出た。懐かしい声が聞こえた。そのとき感じたのは幸せとは違う感覚だったが、あるいはそれも『幸せ』の一部なのかもしれない。

 電話が終わったとき、もう男はいなかった。マンションの下の道路を見回すと、変なシルクハットが歩いている。奴だ。呼び止めようと思ったとき奴はこちらを向き、ハットの端をクイと持ち上げてニッコリ笑った。
 日曜の夜。俺はまたギターを抱えて、街へ繰り出す。このハッピーが届きますようにと願いながら歌を唄うために。奴の帽子がタイトルの曲を。

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