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2001/12/24 (Mon) サンタさんはいるんだよって信じる子供たちの歌

 ベッドの端に靴下を引っ掛けて、少年は眠っています。ゲーム機が欲しいと読みにくい字で書かれたメモと共に、新しい靴下は、頼りなくぶら下がっています。深夜、少年の部屋に父親が入ってきました。そっと、そっと。そしてゲーム機とクリスマスカードを枕元に残し、父親は去っていきます。
 あの少年にとってのサンタは、父親です。
 
 少女には特に欲しい物はありませんでした。ただ、恋人と幸せにそして穏やかに過ごせる時間を望んでいました。その夜、少女は恋人と手を繋いで歩き、夜景を見て、食事をし、部屋で手作りのケーキを食べ、美味しいと言ってもらい、テレビを見て、そして眠りにつきました。恋人は小さなプレゼントを渡しました。二人は互いに与え合いながら、今日もいつもと同じように眠ります。
 あの少女にとってのサンタは、恋人です。
 同時にその恋人にとってのサンタは、少女です。

 教会には孤児院の子供たちが歌を聞きに来ていました。それぞれがささやかな願い事を胸に、しかしそれを口には出さぬまま、今日もいつもと同じように、そして明日もそのまた明日も同じように過ぎていくことを望みながら、穏やかな光と幸せそうな人々を見ては微笑みます。中には泣き出す子もいました。彼らは互いにかばいながら、笑わせあいながら、また孤児院に帰っていきます。
 街中でゴミ箱を漁ったり粗大ゴミ置き場へ行ったりしてその日を生きれるための物を探す中年がいました。中年はテレビやビデオ、コンポといった電化製品から弁当の食べ残しや真新しい雑誌など、色々な物を集めます。食べ物は自分で食べ、汚れているだけの電化製品や雑誌なら綺麗にしてフリーマーケットに持って行くこともあります。日払いの安いバイトをこなしたり、その日寝るための場所を探したりしながら、夜を過ごします。
 駅前で弾き語りをする青年は、今夜もいつもと同じように、かじかむ手でギターを弾きながら力強い歌を歌い続けます。聞く人がいようといまいと、人通りがあろうとなかろうと、十数年前に流行ったような力強い歌や、自分で作った自分のための歌を、今夜も歌い続けます。

 青年の歌が中年に明日を生きる力を与え、中年が磨いたゴミやなけなしのお金で買ったお菓子が孤児院の子供たちに笑顔を与え、子供たちの笑顔が通りすがりの少女の心に大きな優しさを与え、少女の優しさが恋人に変わらぬ大切な想いを与え、恋人たちの幸せそうな姿が家族の暖かい夜を迎える喜びを与え、そんな喜びや幸せで彩られた街が青年に新しく力強い歌を作りそして歌う気持ちを与えます。
 それぞれがプレゼント交換をし合い、この街は今日も眠りにつきます。

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