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2001/12/10 (Mon) FLY AWAY(1)

 僕はもともと人間に飼われていた犬で。当時は御飯ももらえたし、散歩にも連れて行ってもらえた。でも、ご主人様が、ペットを飼えないマンションに引っ越すことになって、僕は、保健所へ連れて行かれたんだ。でも、恨んではいないよ。光の国で、僕は“あの優しい光”にお願いをしたんだ。天国へ行くのはもうちょっと待って貰えませんか、ご主人様のことをちょっと見守りたいんです。お世話になった礼を、少しだけでも、したいんです。そう、お願いをしたんだ。
 優しい光は言った。戻らない方がいいと。小屋の中から見ていた世界と、空の上から見る世界は、まるで別物だと。戻れば後悔すると。

 3ヶ月ぶりにご主人様の元へ帰ってきた僕が見たのは、僕よりもっと小さな犬だった。部屋の中で、ご主人様の隣で丸くなって寝ていた、子犬だった。子犬は僕に気付き、無邪気に尻尾を振った。

 …僕のご主人様を、取るな…僕を飼えないって言ってたのは、嘘だったの…僕よりこんな小さくて弱そうな奴の方がいいの…僕はあんなに苦しい思いをしたのに…ご主人様にもその苦しみを…このチビにも…

 魂のままでいると、思ったことが全て伝わってしまう。子犬は僕に怯え、寝ているご主人様の後ろへ隠れてしまった。僕は、自分の体がどんどん重くなっていくのを感じた。ふわふわ浮いているのに、地面へ、それよりもっと下の方へ落ちていく感じ。僕はそこで、やっとあの優しい光の言葉を理解した。これが、後悔なんだ。嫉妬なんだ。現世で醜い心を持ったら、落ちていってしまうんだ。光はこうも言ってた。
 …現世に関わるのはやめなさい。これからはお前の新しいライフを送ればいい…

 僕は子犬にそっと近づく。そして、呟く。
「もう僕はご主人様を守ってあげられないから、君に、お願いするよ」
子犬は解ったのか解らないのか、尻尾を下げたまま頷いた。

 僕はご主人様の顔を一回だけ舐めてから、空へ向かった。

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